Japanische Klassiker mit Furigana
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あるかたきうちのはなし
或敵打の話
Lesen Sie 或敵打の話 (あるかたきうちのはなし) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.276 Zeichen · 19 Bildschirme
発端
発端
肥後の細川家の家中に、田岡甚太夫と云う侍がいた。これは以前日向の伊藤家の浪人であったが、当時細川家の番頭に陞っていた内藤三左衛門の推薦で、新知百五十石に召し出されたのであった。
ところが寛文七年の春、家中の武芸の仕合があった時、彼は表芸の槍術で、相手になった侍を六人まで突き倒した。その仕合には、越中守綱利自身も、老職一同と共に臨んでいたが、余り甚太夫の槍が見事なので、さらに剣術の仕合をも所望した。甚太夫は竹刀を執って、また三人の侍を打ち据えた。四人目には家中の若侍に、新陰流の剣術を指南している瀬沼兵衛が相手になった。甚太夫は指南番の面目を思って、兵衛に勝を譲ろうと思った。が、勝を譲ったと云う事が、心あるものには分るように、手際よく負けたいと云う気もないではなかった。兵衛は甚太夫と立合いながら、そう云う心もちを直覚すると、急に相手が憎くなった。そこで甚太夫がわざと受太刀になった時、奮然と一本突きを入れた。甚太夫は強く喉を突かれて、仰向けにそこへ倒れてしまった。その容子がいかにも見苦しかった。綱利は彼の槍術を賞しながら、この勝負があった後は、甚不興気な顔をしたまま、一言も彼を犒わなかった。