Japanische Klassiker mit Furigana
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そうわ
挿話
徳田 秋声
Lesen Sie 挿話 (そうわ) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.544 Zeichen · 53 Bildschirme
あの人が……それもこの家で、ちらと辰之助さんを見て、すぐ呼出しをかけたわけなんです」
「なるほどね。それじゃ家に燻ぶっちゃいられないわけだね。今でも続いているの」
「さあどうやら」お絹は擽ったい顔をしていた。
「あれは兄弟じゅうで一番素直だ。僕の家でも評判がいい」
「十円もする香水なんか奥さんに貰ってきたんですて」
「少し吹いてやしない」道太は苦笑した。
「そう、少し喇叭の方かもしれん」
「家のやつも人を悦ばせるのは嫌いな方じゃないけれど」
「庄ちゃん(お絹たちの弟)が讃めていたから、いい人でしょうね。けど奥さんもずいぶん骨が折れますわ。幾歳だとか……」
「絹ちゃんより少し若い。巳年だ」
「巳は男好きだというけれど……」お絹はいささか非をつけるように言って、躯を壁ぎわの方へ去らして横になった。
「それあ何だね」道太は何だかいっぱい入っている乱れ函の上にある、二捲の反物に目をつけた。
「これ? 何だかこんなもの置いていったんですけれど。何というお品や」お絹は起きあがってその反物を持ちだしながら、「わたし一反だけ羽織にしようかと思って。やがて大阪へ行かんならんさかえ。どっちも四十円がらみのもんや」