Japanische Klassiker mit Furigana
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とらわれびと
捕われ人
小川 未明
Lesen Sie 捕われ人 (とらわれびと) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.311 Zeichen · 9 Bildschirme
――捕われた猟師? は手に無一物で、しかも両手は後方に廻されている。けれど捕えられた間際には余程抵抗したものと見えて、地上に折れたままの鉄砲が投げ捨てられてあった。二人の悪者は、黒い桶のようなものを二つばかり持ち運んで来た。何に使用するのか……多分血を容れるのと、斬ったら落ちる生首とを入れるのであろう。傍には大きな箱がある。この中に死骸を容れるのだ。
悪者は金を取るのが目的でないらしい。さらば何のためにか?
きっと生胆を引抜き、骨を砕いて……血潮で何か造るのだ。――人間の生血と生胆と白骨で丸薬か何か造るのだ。彼方に大きく土を盛って火を焚く処が出来ている。一人は其処へ行って火を焚き始めた。青い烟が上った。また彼方に黒い家根の頂が見えている。何か小屋があるらしい。此処の小屋は山漆を掻いて黒土と砂利で固めたのだ。
彼方の谷に赤々と、山漆の木が繁っていた。火を焚ている青い烟は微かに棚曳いて深山の谷に沈んでいる。一人の悪者は、捕われた男の前に立って両腕を組んでいる。この間互に一言も言い交わさなかった。火を焚いている一人は頻りと枯れた小枝や青い松葉を折って来て大きな土竈の下を燃している。