Japanische Klassiker mit Furigana
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ちょうちん
提灯
田中 貢太郎
Lesen Sie 提灯 (ちょうちん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.392 Zeichen · 7 Bildschirme
「これから、順じゅんに、皆が得意のものをやろうじゃないか」
と、云う者がありましたが、僕を初め何人も歌おうとする者はないのです。
そうして皆が黙って思い思いの心になって歩いたものですから、猶更淋しくなって四人の駒下駄の沙に触れる音がさく、さくと聞えるばかしで、それがまたみょうに四人の他に姿の見えない物があって跟いて来ているように感じたのです。もっとも此の感じは後から僕のこしらえた感じかも判りませんが、どうもそんな気がしたように思うのです。
其のうちに半里くらいも往ったのでしょうか、松原の松が飛び飛びになって路の左側に沙山のある処がありますね。月見草や昼顔が咲いているそうですね。彼処へ往ったところでむこうのほうに微紅い火の光が見えるじゃありませんか。
「火が見えたね」
「人家があるだろうか」
「提灯じゃないか」
皆がこんなことを云ったのですが、近くなると提灯の灯のようです。そして、此方の方へ動いて来るのです。そう云う淋しい場合に提灯の灯を見ると云うことはほんとに懐しい気がしますね。で、皆が其の提灯を点けて来る人はどんな人だろうかと云うような好奇心を起して、一歩一歩と近づいて来る提灯を待っていたのです。