Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme
ひろ子は肩からリュックをおろして、窮屈な足もとにおいた。白絹も荷物をおろした。
そして時計を出して見た。
「これじゃ仕様がない、もう二時間もおくれちまった」
それに答えるものがなかった。ひろ子に半分、自分の荷物に半分、もたれかかるようにして、こわい真直な髪を真中からわけた朝鮮の若者が立ったまま眠っている。そのうしろに丸まって、腕に顔を伏せている若者も朝鮮人であった。次の車室からそこまで溢れ出している旅客は殆どみんな朝鮮の人たちである。
となりの車室も、電燈がついていず、外界が、ぼんやり白みかけて来ているので一層車内にこもる夜の暗さが濃く深く思える。しかし、その暑苦しい暗闇の中はひどく賑やかであった。
愉快そうに入りまじった男や女の高声がしていて、どの声も喉音や吃音のまじった朝鮮の言葉でしゃべっている。一切の世帯道具をもって、今や独立しようとしている故郷の朝鮮へ引あげてゆく人たちの群である。
こっちの車室は、一様にくたびれ、眠たく朦朧の中に陰気にしずまりかえっている。二輌の車のつぎめに立っているひろ子に、そのちがいは、いかにもきわだって、体の両側から感じられた。