Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろう
放浪
織田 作之助
Lesen Sie 放浪 (ほうろう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.614 Zeichen · 47 Bildschirme
難波の終点についたのは正午頃だったが、大阪の町ははじめてのこと故、小一里もない生国魂神社前の丸亀の料理場に姿を現わしたのはもう黄昏どきであった。
その日の婚礼料理に使うにらみ鯛を焼いていた順平が振り向くと、文吉がエヘラ/\笑って突っ立っていた。十年振りの兄だが少しも変っていないので直ぐ分って、兄よ、わりゃ来てくれたんかと順平は団扇をもったまゝ傍へ寄った。白い料理衣をきている順平の姿が文吉には大変立派に見え、背ものびたと思えたので、そのことを言った。順平は料理場用の高下駄をはいているので高く見えたのだった。二十二歳の文吉は四尺七寸しかなかった。順平は九寸位あった。順平は柿をむいて見せた。皮がくる/\と離れ、漆喰に届いたので文吉は感心し、賞めた。
その夜、婚礼の席がおひらきになるころ、文吉は腹が痛み出した。膳のものを残らず食い、酒ものんだからだった。かね/″\蛔虫を湧かしていたのである。便所に立とうとすると、借着の紋附の裾が長すぎて、足にからまった。倒れて、そのまゝ、痛い/\とのた打ちまわった。別室に運ばれ、医者を迎えた。腸から絞り出して、夜着を汚した。