Japanische Klassiker mit Furigana
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うきふね
文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.938 Zeichen · 67 Bildschirme
話もちょうど一齣らしい。
とに角、きき取っていたのが、一同に気を放ち、肩を弛めて、死んだ風が渡るように汗に萎えた身体は皆動いた。
「誰方か泣いていらっしゃりやしませんか。泣いていらっしゃりやしませんか。……御婦人のようですが。」
幹事白尾の声である。
「泣いていらっしゃるようですね、――御気分の悪い方があるんじゃありませんか。」
泣いて、……泣いている……と囁く声が、ひそひそと立って、ふと留むと寂然とした。
「間違いでしたか――大丈夫ですね。……それでは誰方か、またお話を。」――
談者一人、脱いでいた薄羽織を引かけるのが影の如く窺われて、立って設けの座に直った。
再び、真三の右斜めの、女の肩と、女の胸との間へ、いまの美しい顔が見えた。
「私ですよ、泣いていますわ。」
濡々とおくれ毛が頬にかかるのが、ゾッとするまで冷く見えた。
「…………」
「坊主が可厭で……可厭で……私……」
「坊主、さ、何処に居ます。」
思わず膝を立てて、声を殺しながら、その女に差寄って聞いたと思うと、
「え、坊主?……」
と振向いて聞返したのは、翡翠の珠も眉に近い、それは幹事室で見た先刻の芸妓であった。