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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

ことにその小路に多い二階には、いつも影があって女と男とがうつっていた。内部がしんみりと何かの香料にでもつつまれているようで、ふうわりとした座布団や快い食卓、みがきをかけたような一枚板のような畳、そこに菓子折のように美しく白い膝を折った女の坐り具合、などと悩ましく考えるごとに、かれはそこにふらふらとしている箱屋さえも、それ自身が彼女等の日常にふれることによって非常に幸福なようなものに思えたのである。

かれにとって堪えがたいものは、その通りで聞くところの何処から起ってくるとも分らない一種の女の肉声であった。それは何の家家からも二階からも起るらしい艶めかしい笑い声と交って、かれの喉すじを締めつけるような衝動的な調子でからみついてくるのであった。

「おれはあの声をきくごとに、からだの何処かが疼いてくる。あの声はおれのからだじゅうを掻き探っておれの呼吸をまで窒めるのだ。」

かれは、そう何時もふしぎな女の肉声をきくごとに感じたのであった。その肉声のなかには鵙のような啼き工合や、いきなり頬を舐め廻されるような甘い気持や、また、いきなり痒いところを尚痒くえぐるような毒々しさをもっていた。