Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
「なにか御用でございますの。」
その声は落ちついていた。男は吃驚して冷たくなって、からだを縮めながらそれには答えないで黙っていた。
「そんなことをなすっても、ちゃんとわかりますの。」
言われたとき、男はおもいきって障子をさらりとあけた。女は微笑んでみせた。つめたい亀のように瘠せた皺が額のところに寄った。
「どうしてお前におれの姿がみえるのだ。気味の悪い――。」
男は棒立ちになって、なまじろい女のはだけた胸をみつめながら言ったとき、
「あなたこそ気味の悪い、四ツ這いになって忍びよるなんて。」
そう女がこたえると、男は又冷たくなって急に言葉もでなかった。ただ不思議なものをみるように、この変な女をつくづく眺めた。いまは彼女はただ気持ばかりで生きているほど細ながく伸ばされたようになっていたのである。横になればなったままで、のろのろと這い出し兼ねないぬらぬらと細く、きみわるい蒼白さに澄んでいたからである。
「ほんとにどうしてお前はおれが忍んできたことがわかるのだ。」
女はぐんにゃりと微笑って、
「どうしてって……どうしても見えるんですもの。」
男は青くなって、やはり立ったまま女の耳をふいと目に入れた。