Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
あなたはまだ召しあがらないのならどうぞ。」
「おれならいいよ、それに今夜じゅうの仕ごとがあるんだ。明日中にとどける約束のものがあってね。」
女は仕方なしに「ではお暇しますわ、お邪魔でございましょうし……」
しかし女の顔には別に毒念のない、平淡さがあった。
「そしてお前はどこへ行くのだ、いまから一人で……」
「近くに宿屋でもございましょうから、そちらへ参って居ります、でも此処では何んですから。」
「そうか、それで明日また遣って来る気かい。」
「あの……」
女は先刻から耐えていて持ち切れなくて、眼に一杯泪をうかべた。そして直ぐうつ向いて手帛をあてた。
「あ、耐らん、すぐそれだ。」
松岡は黄色い萎びた声でそういうと、突然頭の毛の中へ指を入れて、髪の毛をくしゃくしゃにした。「みんな日限の仕事になっているのだ、明日から又台なしだ。」松岡はそういうと、どかりとうしろ向きに寝ころんで、何か奇声を発した。平常の気取ったフロック姿の松岡らしくもない、松岡であった。
「それではわたくし帰ることにいたします、わたくし何もぞんじませんでしたものですから……」
女はそういうと、もじもじして包みを手に取ったが、中から菓子折を出すと壁ぎわへ押し遣った。