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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

それともお前はあんなところを通りはしないの。」

「うん、通らない。」

弟は短いこれだけの返辞をして、何も尋ねてくれるなというような顔をした。姉にもそれがよく分っていたが、反対に考えるほど解らないことだった。そして今きゅうに向うの方から洗濯物をしにくる女らしいのが一人、重い籠を抱えてくるのが見えると、小さい弟はそれを憚るように見つめた。あるかないかくらいの物怖じしている様子が、弟の眼の中に震えているのを姉は見入った。

「お姉さま、――」

弟はそう呼んで注意した、姉は弟の手をひいて川ぶちの土手の上をあるいた。土手の石垣のあいまの、日あたりのよい穴から遅い冬咲く花があった。白い粟粒くらいの花だった。雪がくると咲いたまま押し花のように凍てあがった。ふたりはそういう石垣のあいまを覗いてあるいた。が、その他には筋のこわい枯草が毎夜の風に吹き荒まれ笛のようにからからになっていた。生き残っている蝗はみんな跛を曳いて間もなく死ぬだろうと思えた。

「わたしお前とあるいている間はいいんだけれど、お前がいなくなってしまったあとが、何時でも気が滅入り込んでしまって困るの。」

弟は黙って土手の上の草に手を触れながら、姉の言うことを考え考え歩いた。