Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
そういう三十分程がすむと娘はまた音もなくすウと自分の居間へ這入ってしまったのです。そのとき何んだか障子ぎわへ姿が消えるとき、父親の目には細長いものの影がずるずる、湿っぽい暗い音をさせながら、すぐ、障子の中へきえてゆくのが、見えるともなく目にはいったそうです。そのとき身体中に森としたある不思議な寒さが、骨の髄まで徹ってくるような気がしたそうです。しかもその最後に見た障子の内のかげはまるで鼠の尾のような細い、鋭い影だったそうです。」
私はそのときあまりの不思議さに、よくそういう時に誰でもするように、姉の顔を唯凝視しつづけていました。うららかなかげが、杏の梢をすべり、わたしどもの跼んでいる足もとへも、すらすらこぼれており、そのためなお一層青い芽生えがその色を冴えさせておりました。
「その影はいったい何んだろう、鼠の尾のようなものが……」
私はおもわずそう問いかけると、姉は、わらって、
「あとでわかるから黙って訊いてお出、それからその父親が毎晩のように、娘が庭へ出て蛙をたべるのを見たそうです。きまって晩になると、こっそり室から脱け出すのだそうです。――けれども何しろ自分の娘のことであり、そういうことを世間の人に話するわけに行かないんで、黙っていましたが、相渝らず娘の方ではそんな父親が監視していることなぞ知らないもの