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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

かれの顔容は寂しい歪をもちながら、目は桃花村の方にそそがれていたのである。

舟が渚につくと、娘はすぐ父親に抱きついて、あまえた声で言った。

「まあ、ひどいお父さま――。」

「どうして。」

「お一人でいらっしゃるんですもの。わたしだちの眠っている間に、――ひどいわ、そんなことを為すっちゃ――。」

眠元朗はあたまを掻いて、娘の手の甲をぴちゃぴちゃ叩きながら微笑った。

「そりゃお父さんがわるかった、まあ、がまんして呉れ。」

眠元朗は娘の肩ごしに、ふと女を見た。そのとき何年にも見たことがない――そう、ずっと古くに見たことのある女の顔が、いつの間にか今の表情に入れかわっているのを驚いて見た。この平明なくらしのなかで今までにこの女が、このような顔をしたことがなかった。

「お前は眠っている間に大そう顔貌が変った、まるで別人のようだ。」

「いいえ、それよりもあなたのお顔もかわっていらっしゃいますわ、いつものようではございません。」

眠元朗はあわてて自分の顔に両手を遣ってみた。そして女があんなにまで穏やかな眼をしていたのに、いまの変りようはどうだろう――眠元朗はこんどは娘の方をふり向いて見たが、しなやかな顔つきはのびのびとそれ自身夢のように静まり、瞳はまんまるく美しい白味にまもられ、艶やかに微笑っていた。