Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

湖水の上には青い竜のような影をひいた日の光が、ななめに桃花村へ向いて、金色の巨鱗を打ちひろげていた。

「いえ、お父さまそんなことをなさいますと、あとでお母さまがお怨みなさいますわ。」

「誰も怨まないのだ――さあ、お乗り! そしてお前の手のつづくかぎり漕いで行くんです。」

娘はしかたなく船に乗りうつったときに、舟は父の手によって水の上へ辷り出された。青い竜のかげは乱れた。舟は白い小さい手によって漕がれた。――娘はそのときこれまでにないはっきりした顔をして、そして鋭い嬉しそうな声をあげた。

「もう行ってもようございますの。」

「いいとも……お前は何という嬉しい顔をしているだろう。」

父親の声はさすがに寂しくかすれていた。

「え、わたし嬉しくて――ではお父さまお大切になさいまし。」

眠元朗はしゃがんで、走る娘の舟を見つめた。舟は桃花村のある方へ白い水脈をひいて、目ぐるわしく迸った。眠元朗の目は湿うてその弄ぶ砂は手のひらを力なげにこぼれた。