Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
退屈それ自身はわたしの受取るものだ。」
眠元朗は急に胸が拡がるような、或る鬱積したものが発散する清々しさを感じた。かれははじめて自分の娘をゆっくりと眺められるような気がした。
「見てごらん、あんなによく日が当って、桃花村がきらきら光って見えるではないか。今こそお前はいつでも桃花村へ行けるのだ。」
娘はその永い啜り泣きのあとで、ぼんやり夢でもさめたような父の顔をながめ、父の眼路を辿って、日の光をあびた美しい桃花村をながめた。そこからふしぎな音楽が花と花とに埋れたなかから、玲瓏とした楽しい音色をつづけた。気のせいか幾隻とない美しい竜旗を掲げたような舟が、朝日の湖にぽっかりと長閑げに浮いて見えた。
「お父さま、わたしお父さまの仰ることがよくわからないんでございますけれど……わたしはやはりお父さまのおそばにいとうございますわ。今までのように――。」
しかし娘は反対な桃花村をながめ、そこへ心はふしぎに憧れた。けれども何故かそう嘘をつかなければならなかった。
「お前はわたしのそばに居なくともよいのだ。お前の好きなところへ、そして勇ましく出て行ってくれ。」
眠元朗は娘を渚へつれて行ってそう言うと、不意に舟を渚から水の上へ辷り出させた。