Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
そこには、かれの法名と、四十五歳五月生れと、はっきりと新しい位牌さえ収められてあった。
「うむ。」
堀は、吐息をついて、ぼんやりと何か頻りに考え込んでいた。
「ほんとに何処へいらっしったんでございます。」
おあいは、夫が殆ど見ちがえるほど憔悴はてたのを、その頬や腰のあたりに見た。それより目がどんよりと陥ち込んで、ちからのない弛みを帯びていること、ものを正視するに余りに弱くなっていることに感づいた。
堀は、手で話しかけてくれるなと言って、非常に疲れきって床の上にやすんだ。それきりかれはうとうとと眠り込んだかと思うと突然起きあがって、おあいの顔を凝乎とながめたり、ぼんやりした行燈をみつめたりした。そして気がつくと、
「仏壇のあかしを消してもらいたい。」
そう言い出した。おあいは立って、手扇ですぐ消してしまった。あとは、お暗い行燈ばかりで、そとは、すぐ田圃つづきのかいかいいう蛙の声が、いちどきに大方今夜も晴れているらしい星空に向って、遠くなったり近くなったりして起っていた。
おあいは、又しつこく訊ねたが、堀は、混み入った数を算えるときのような空目をしながら考え込んでいたが、幾度も吐息をついて手をふって見せた。