Japanische Klassiker mit Furigana
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みすじまちかいわい
斎藤茂吉随筆集
斎藤 茂吉
Lesen Sie 斎藤茂吉随筆集 (みすじまちかいわい) von 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.559 Zeichen · 37 Bildschirme
そのころの燈火は電燈よりも石油の洋燈が多かったはずだのにそんなに明るく感じたものである。
それから父と二人は二人乗の人力車で浅草区東三筋町五十四番地に行ったが、その間の町は上野駅のように明るくはなかった。やはり上ノ山ぐらいの暗いところが幾処もあって、少年の私の脳裡には種々雑多な思いが流れていたはずである。さてその五十四番地には、養父斎藤紀一先生が浅草医院というのを開いていたので、其処にたどりついたのである。
医院はまだ宵の口なので、大きなラムプが部屋に吊りさげられてあって光は皎々と輝いていた。客間は八畳ぐらいだが紅い毛氈などが敷いてあって万事が別な世界である。また、最中という菓子も毎日のように食うことが出来る。
ここに書いた陰暦七月十七日は陽暦にすれば何日になるだろうかと思って調べたことがある。それに拠ると旧の七月十七日は新の八月二十五日になるから、二十八日か二十九日かに東京に著いたことになる。
三
養父紀一先生はそのころ紀一郎といったが、紀一という文字は非常によいものだと漢学の出来る患家の一人がいったとかで紀一と改めたのである。父の開業していた、その浅草医院は、大学の先生の見離した病人が本復したなどという例も幾つかあって、父は浅草区内で流行医の一人になっていた。