Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃよう
斜陽
Lesen Sie 斜陽 (しゃよう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.822 Zeichen · 176 Bildschirme
夕方ちかく、お母さまは、しずかに二階の洋間にはいっていらして、パチと電燈に灯をいれて、それから、ベッドのほうに近寄って来られ、
「かず子」
と、とてもお優しくお呼びになった。
「はい」
私は起きて、ベッドの上に坐り、両手で髪を掻きあげ、お母さまのお顔を見て、ふふと笑った。
お母さまも、幽かにお笑いになり、それから、お窓の下のソファに、深くからだを沈め、
「私は、生れてはじめて、和田の叔父さまのお言いつけに、そむいた。……お母さまはね、いま、叔父さまに御返事のお手紙を書いたの。私の子供たちの事は、私におまかせ下さい、と書いたの。かず子、着物を売りましょうよ。二人の着物をどんどん売って、思い切りむだ使いして、ぜいたくな暮しをしましょうよ。私はもう、あなたに、畑仕事などさせたくない。高いお野菜を買ったって、いいじゃないの。あんなに毎日の畑仕事は、あなたには無理です」
実は私も、毎日の畑仕事が、少しつらくなりかけていたのだ。さっきあんなに、狂ったみたいに泣き騒いだのも、畑仕事の疲れと、悲しみがごっちゃになって、何もかも、うらめしく、いやになったからなのだ。
私はベッドの上で、うつむいて、黙っていた。