Japanische Klassiker mit Furigana
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にいづまのしゅき
新妻の手記
豊島 与志雄
Lesen Sie 新妻の手記 (にいづまのしゅき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.807 Zeichen · 22 Bildschirme
夫が朝早く、鞄に弁当箱をつっこんで出かけた後、夕方帰ってくるまで、退屈なほど隙だった。鶏が数羽飼ってあり、庭の隅に小さな野菜畑があったが、そんなもの、大して手もかからなかった。なまじっか女学校などに勤めていたため私は、よけい時間を持て余したのかも知れない。母は着物の縫い直しものや繕いものをやってることが多かった。それを手伝おうとしたけれど、私には和裁がよく出来なかったし、母も教えてくれなかった。さし当って、ミシンを踏む材料もほとんどなかった。母はいろいろなことを私に話しかけた。若い頃作ったという和歌などを口ずさんで聞かせた。調子の低い甘っぽい歌ばかりである。それでも、昔は小説まで書いてみる志望があったらしい。
「あなたも、隙のようだから、なにか原稿でも書いてみたらどうですか。」
母のそういう言葉は、私には全く思いもかけないことだった。もっとも母は津田芳子さんのことを知っていた。津田さんは私の友人で、小さな婦人雑誌の編輯をしている。以前、私はちょっとした翻訳物をその雑誌にのせて貰ったことがある。母は言う。
「わたしの若い頃のお友だちに、木村さんという才媛がいましてね、小説、戯曲、詩、歌、なんでも書きましたよ、あまり才気が多すぎたため、何一つ本物にはなりませんでしたが……。