Japanische Klassiker mit Furigana
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にいづまのしゅき
新妻の手記
豊島 与志雄
Lesen Sie 新妻の手記 (にいづまのしゅき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.807 Zeichen · 22 Bildschirme
お母さんも、それを経験した筈だがな。愚痴をこぼしていたことがある。昔は小説なんか読み耽っていることもあったが其後さっぱりやめてしまった。まあまあ、お母さんの気紛れなんかいい加減に聞き流しておく方がいいよ。そんなことより、主婦の仕事はたくさんある筈だし、裁縫なんかも教わって、お母さんの手助けをするようにしては、どうですか。」
この、どうですか、という言葉が私の胸にぐっと響いた。吉川は西洋流というのか、不機嫌なことは丁寧なよそよそしい調子で言う癖がある。
もとより、吉川の説には私も賛成なのである。専門家にならない限り、婦人にとって、文学は情操を養うのを主眼とすると、女子大の英文科の先生も説かれていたし、私も女学校で、生徒達にそう説いた。家庭の主婦となっては家事が第一というのが、女学校の教育方針であって、私もそう考えていた。年若くてなまじ文才があったため、それに自ら幻惑されて、文学上の真の能力や仕事がどういうものかを知らず、前途を誤った者もある。ただ、私のささやかな翻訳の仕事は文学などというものではなく、思えば、母の御機嫌取りに過ぎなかった。私としては勿論、家事第一主義の考えに変りはなかった。