Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme
その灯影遠くに、そっと、ふすまを開ける音がした。石川伯耆守数正は、主人と同じように、はや平服にもどり、そこへぬかずいていた。
家中の将士のほとんどがまだ武装を解いてはいない。にもかかわらず数正は、今朝から家康が平服になったのを見ると、すぐ自分も日頃の小袖と麻がみしもに、着かえてしまった。
(なんと、数正の身なりはよ。具足を着こむときは遅いが、脱ぐのは早い)
すぐ眼にカドを立てて、かれの表面だけでなく、内部の心理までを読もうとする視線が露骨に向けられた。
どういうものか、伯耆守数正のすることといえば、同じ家中でありながら、人々はみな、ありのままには受け取らないのだ。前を示せば裏を――底を見せればまたその底に、二重底でもあるような人物としか取ってくれない。
(……心外なことではある)
近ごろめっきり数正の顔には深い皺がきざまれていた。皮膚のいろにも生彩がなく、笑いを忘れていることが久しい。
「おお、数正か。そこでは遠い。寄ってくれい。もそっと、近くへ」
いつも変らないのはこの主君だけであった。数正は、家康の前へ出ると、かえって、気がほぐれた。
「伯耆」
「はい」