Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme

Aozora Bunko

「このたびこそ、成政に随身の者にとり、万死一生の戦いなるぞ」

と、恐怖的な懸け声のもとに、全土の者を、駆りたてた。

けれど、防禦に強制された成政の下級兵や一般庶民の中には、はやくも、こういう不平の声があった。

「おまえたちは、死なせぬぞ。われら武門が、先に立って、おまえたち庶民を守る。殊に、女子供は、怪我するな……とでもいってくれるなら、同じ土に生きた同士、いいえ私たちもと、進んで、敵に当りもしようが、こんな時ばかり、成政の随身と呼ばれちゃあ、かなわねえ。御随身というのは、一しょに、栄華もしたり威張ったりした人たちだけのことだろう」

人心は、微妙である。

成政もすぐ察して、

「線を広く守ろうとすれば、勢い、線の力は薄くなる。総力を、神通川の一線に退きまとめて、不退の守りを、結集せん」

と、にわかに、国界の小防塁をすべて放擲して、神通川の大河を前にあて、内には、国内の不平分子を抑えて、

「女子供も、死守に当れ」

と、狂気じみた布令を発して、佐々方は躍起な準備をいそいでいた。

秀吉は、利家の兵八千を、先鋒にたてて、旗を越中にすすめていた。途上の小敵は、風を望んで降って来た。