Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme

Aozora Bunko

笑い候え

「さきに剃髪して降伏して来たのは、命が惜しいということでしょう。信雄様、あなたは、それをどう扱われましたかな」

「筑前どのに、取做してやろうというて、返したが」

「ひきうけましたか」

「ぜひなく……」

「それは、困る」

秀吉はわざと苦りきって、口をむすんで見せた。

笑い候え

信雄は、秀吉の顔いろを見て、急に、自分がひきうけて来たことの重大さと難しさに、思い至って、はたと当惑の態だった。

「どうしても、成政の一命は、助けるわけには参るまいかの……」

と、独りつぶやいてみたり、

「成政も、今となっては、筑前どのへタテ突いたことを、真実、悔いてもおるともいう。……自体、あの男は、単純な武骨一片の男で、深い謀みがあったわけでもなく、まあ、徳川殿に、そそのかされて、巧く利用されてきたものじゃ」

と、秀吉の閉じた唇を見ながら、独り言みたいに、喋舌っていたが、ふと云い過ぎたと思ったか、信雄もまたそれきり黙りこくってしまった。

秀吉はなおも無言をつづけていた。しかし、彼のことだ。本当の腹は、きまっていたにちがいない。ただ信雄が余りにも軽忽に安うけあいして来たことが、おもしろくなかった。