Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme
「――能登は、其許自身が、自力で従えた領土ゆえ、べつに秀吉から進上する理由はない。随意に、知行せらるるがよかろう。佐々の越中三郡もよろしいように治められよ。……そして、官位叙爵なども、考えておるが、とりあえず、自分の羽柴姓を、あなたに譲り、以って、秀吉がどれほど御辺の信義にたいして、感謝しているかを、酌んでおくりゃれ」
事実、秀吉は最大なよろこびと恩遇をもって、利家にこたえた。利家も、もちろんそれに感激した。おたがい、二十幾歳頃の若年から、五十に近い今日まで、叛服常なき乱世の中をつきあって来て、ただの一ぺんも、裏切られず、裏切らず、一貫した交友をつづけて来たことだけでも、世間に稀れといってよい。
ましてや、その堅い交友の良心の上に築き得た成果の歓びを、互いに分けあう日に恵まれたのである。人生の至楽、男子の会心事、これに越すはあるまい。
爾来、前田家は北国の雄藩として、後、数世紀にわたる治民と繁栄をこの時に約した。けれど、秀吉との交情と、その恩遇のために、又左衛門利家は、ついに、中原に出て天下を争う考えは放擲せざるを得なかった。
――とすると、彼もまた、秀吉の薬籠中の一個でしかなかったとも観られるが、長い史眼をもってすれば、豊臣氏の滅亡後も、前田氏はなお長く北国の雄たるを保った。