Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme

Aozora Bunko

あとで呼ぶ」

「はい、はい」

聞き分けのいい猫のように、そろりは、茶室を出て行った。

「妙な老人ではあるが、あれも、茶人とかいう者でおざるか」

菊亭晴季は、気になる猫背が去ったので、やっと、主と二人きりの、水入らずという気やすさを、顔に見せて、訊ねた。

「いやいや堺の塗師で、杉本新左衛門という剽気た男でおざる。刀の塗り鞘をよう致すので、人呼んで、そろり鞘といい、いつか、それが姓のようになって、曾呂利新左衛門と、みなが申しおる」

「塗師をそばにお置きになるとは、あなたも、物好きでいらっしゃる」

「物好きといわれれば、将軍職の称号を欲しがるなどは、それ以上な物好きではあるまいか。あの猫背の歯抜け爺を、堺から召し呼んで、伽の衆に加えおく物好きと、将軍家になりたいというわしの物好きと、いずれ劣らぬ愚とはおもうが――菊亭どの、笑うてくれい、秀吉は、是が非でも、成りたいのじゃ。思案はないか、何とか思案は」

「おやめなされい、将軍家なぞは。――それよりは、あなたともあろうお方が、なぜより以上の、職位をお望みなさらぬのか」

「なに、将軍以上の職位をとな。……ほう、征夷大将軍の上にも、まだ何か、えらい称号があったであろうか」