Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme
取次いで給われい」
兵士たちは、顔見合わせた。伝右衛門の風采は、見覚えのないものではない。
一名が、小門の中へ走った。
寒風の中に、かなりの時が移った。やがて、やっと、数正の股肱の者らしい年配の家臣が出て来た。そして、いんぎんに謝していうには、主人は、城内に詰めきりで、殊に、数日来、風邪を召されていて、ここへ御帰邸にはなっていない。何かのおまちがいではないか――どうぞ、主人の病が癒えるのを待って、城内において御面会ねがいたい――と説き詫びるのであった。
こういう返辞は、伝右衛門が予期していた通りのものである。かれは、強いて、――微笑をふくみ、相手にも勝る辞礼で云った。
「いや、なに。……世間へは左様にお沙汰もされておられようが、伝右衛門にお気づかいは無用でおざる。数正どのに辛く吹いている世間の風と、この伝右をも、一つにお考え下されまい。折入って、それがしも一個、数正どのも、ただ一個の人間として、こよいは、お会いしたいものでおざれば――」
――実は。と伝右衛門はなおいった。
「お風邪でお引き籠りと聞こゆる御城代が、つい今し方、そっと、御本丸を脱けて、これへ御帰邸になったことも、それがしのこの眼で、しかと、お見かけして参ったのでおざる。