Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme
と、なだめすかして、室の中へ、連れ上げていたところだった。
――その頃。
秀吉はいったい何処へ行っていたかというと、実は、城外玉造町の、狩野永徳の佗びたる住居を、訪れていたのである。
従者もたった二人しか連れていない。それに、少女の摩耶を連れ、西の丸から広い外廓へ出、まだ工事中の玉造口の城門を出て、ぶらりと、ここへ来てしまったものなのだ。
――が、彼のこんな一個人としての軽々しい訪問は、この古堂の佗び住居では、きょう初めてではないらしい。
「おや。また、おいで遊ばした……」
というような迎え方が、画師永徳にも、弟子の山楽にも、召使の婆やの様子にも、ありあり見えた。
秀吉は、ずかずか通って、
「於通は、相かわらず、画の修業に、精出しておるかの」
云いながら、奥のせまい、画室をのぞいた。
「いらっしゃいませ」
と、於通は、かれの立ち姿を、ふすま際に迎えて、手をつかえ、
「一所懸命に、お教えを、いただいておりまする」
と、答えた。
画室は、毛せんの上に、無数の絵の具皿だの、筆だの、硯だの、反古などを、一面に散らかしていた。あわてて、彼女が片づけようとしたのも、間に合わない程にである。