Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme

Aozora Bunko

折にはちというたがよいと……」

「はははは。それで灸か」

「その御心配もおもわずに、よい気になって、不養生ばかり遊ばすのは、親不孝でございましょうに」

「いつ、わしが不養生を」

「おとといの夜も、三条の局のお部屋で、明け方ちかくまで、何を騒いでおいで遊ばしましたか」

「ア。わかったか」

「わかったかもないものです。――あなた様は」

次の間で酒もりしていた近習や能役者たちは、秀吉夫妻のめずらしい――いや、めずらしくない夫婦喧嘩に――見て見ぬふりをし合っていたが、そのとき秀吉の方から、かえって大声で、こう呼びかけられた。

「これこれ、そこの見物ども。いまの、ふたりの猿楽狂言を、何と見たぞ」

太鼓打の縫殿介が、答えた。

「はいはい。盲の蹴鞠と拝見いたしました」

「犬も喰わぬと申すか」

「いえ、勝負、果てなしで」

「笛吹きの大蔵は、どう見たぞ」

「されば、私は私の商売と、拝見仕りました。そのわけは。――どちらが、理ヤラ、非ヤラ。……リヤラ、ヒヤラ。リヤラ、ヒヤラ……」

「うまい」

と秀吉は、いきなり寧子のかいどりを剥ぎ取って、褒美に、投げてやった。

翌日はもう、同じ城中にいながらも、かれの家族たちは、秀吉の姿さえ、見ることができなかった。