Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme
ひとつ、お望みをかなえて」
――みなまで、聞かないうちに、秀吉の面には、ありありと、
(ばかな!)
と、いわぬばかりな顔いろがうごいた。
一柳市助は、まずいと、急に口をにごしたが、もう、間にあわない。秀吉は、この頃にない不機嫌を、むき出しに示して、叱った。
「市助」
「はっ」
「孫七(秀次)めが、ぬけぬけと、そんなことを、そちに取次がしたのか」
「御意のほども、いかがやと存じましたが」
「頼うだ孫七郎は十七歳、あほうにはちがいないが、若いともいえる。だが、そちは一体、いくつだ」
「おそれいりまする……」
「四十ぢかい年をして、たわけたことを、ようも、そのまま取次いだものよ。――そも、長久手の戦は、たれが、わしに代る総大将としてくり出したか。孫七郎秀次ではないか」
「……は、はい」
「その孫七めの、あの折の、負けざまはどうじゃ。家康に尾行られて、破れたは、ぜひもない。……したが、本軍の将として、勝入父子をはじめ、森長可その他、味方のものの討死も見とどけず、まっ先に、楽田へ、逃げ帰って来たあほらしさ……。即座にも、腹も切らせんとまで思うたほどだが、余りなこけを眺めては、もう、腹を立てる気も失せた程なのじゃ」