Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
かえって領民は、前の領主のやり方と、似て非なる信長のやり口を疑っていたろう。信じないはずだ」
自堕落な領主の下に、自堕落に生きて、滅亡を告げ果てた歴史を眼で見ている領民である。彼らが今求めているのは、斎藤家のそれとはちがったものであるにちがいない。
自分だに、信念と徳を示せば、彼らはよろこんで、艱苦を享受するにちがいない。むしろ清新な希望をかかげ、民心に、艱苦せよということであった。
子に対する父の愛を、もっと宇宙大にもしたような、民心への大愛をもって。――しかも民心を打つことだ、鞭打つことだ。
蘭丸は、室のすみに、その小さいすがたと年齢のわりにしては、余りに行儀よく、ちょこねんと坐っている。
が――いかに彼が怜悧でも、信長の心のなかの惨憺たる経営はわからない。
「うたた寝を遊ばしては」
などと、彼の手枕の顔を、遠くから案じていた。
山の若葉を漉してくる夜風が冷たくなった。蘭丸は立って、
「まだ御寝所へ入らせられませぬか」
と、信長の顔へそっといった。
「もう少しこうしていよう」
ほそく開いた主君の眼には、睡そうな気はすこしも見えない。蘭丸は、信長の背へまわって。