Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme

Aozora Bunko

城門にはいって、留守の将士の出迎えにかこまれ、駒の背から降りると、さすがの家康も、ほっと、満身で吐息をついた。

「水を。――水をひと口くれい」

そういって、家臣を見まわし、ひとりが柄杓のまま汲んでさし出す水を、がぶがぶ飲み干していた。

と、その前へ。

黒革の鎧具足にがっしり身をかためた四十がらみの武者が、部下の中から走り出してひざまずいた。

「殿。お久しゅう存じまする」

家康は、柄杓の残り水を切って、小姓へ渡しながら、

「誰だ? ……其方は」

「石川善助めにございまする」

「なに、石川善助と?」

「――四年前、酒の上で朋友と不埒な争いを仕りまして、御当家をお暇となり、やむなく他国へ立退きましたお厩組の善助です。はやお忘れでございましょうか」

「忘れはせぬが、その善助が何しに参った。――そちは当家では三十貫の扶持しておったが、その後、他家へ仕えて三百貫の高禄にありつき、近ごろは至極よき身分と聞いていたが」

「前田殿のおなさけで、身にあまる扶持をうけておりましたが、常に、故主の御恩は忘じ難く、折ふしまたこのたびは、甲州軍の乱入にて、天龍川その他の要所は次々と撃破され、御当家の危急存亡は今に迫ると遥かにうけたまわるにつけ、矢もたてもたまらず、意中を前田殿に訴え、三百貫の禄をお返しいたし、召抱えの者八十ほどひきつれて、御加勢