Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
そしてその時節は、ふたりの予想していた以上早く来た。信玄の死が、それを急に与えたのであった。
いつの時代でも、亡ぶ者が、かならず抱いている滑稽な信念は、
(おれは亡ぶ者でない)
という錯覚である。
義昭将軍などは、その過ちを、もっともよく身にあらわして、盲動派の傀儡となるに都合のよい、位置と性格の人だった。
また信長の眼からも、べつな意味で、
(あれもつかえる道具の一つ)
として見られ、尊まざる貴重扱いを、日頃うけているのであった。
しかしこの時代価値のない将軍家は、自分の値ぶみを知らないし、何を思惟するにも、知識的で、その知識がまた室町文化からすこしも出ていないのである。せまい京都だけの文化面を、日本の様態とながめて、依然たる小策をたのみ、その恃みを本願寺の僧団や、諸国の信長の敵なる群雄に依存していた。
信玄の死を、彼はまだ知らなかったらしい。
だから強がった。
「予は将軍家だ。武家の棟梁。叡山とはちがう。もし信長が二条へ弓をひくならば、信長は求めて、反逆の名を負うものだ。諸国の武門がゆるすまい」
一戦も辞さぬ態度を示して、近畿の兵家に檄をとばし、もちろん浅井、朝倉、越後の上杉、甲州の武田家などの遠方にも、急使を送って、ものものしげな防備にかかった。