Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
彼が、胸に合掌して、長政のすがたを拝んだのも、決して、虚偽ではなかったのである。自然に双つの掌が合わさったのであった。
「…………」
黙然、長政は、眼をつむって、聞いていた。
両腕を拱んで。
がっしりと、両の足を踏んで。
そのすがたは甲冑の仏像のようだった。
藤吉郎は、合掌したまま、そのまえを立たなかった。かれがこの城へはいって来るとき公言したとおりに、生ける屍の長政の霊へ、一片の回向をしているかの如きすがたであった。
一心祈念するものと、一心よく死のうとするものと、二者の心は、その寸間に触れ合った。
敵とか、味方とか、そういう隔ても掻き消え、長政が信長にいだいていた感情やら反抗やら、あらゆる小さい妄念は、ふと、彼のすがたや心から古蒼した胡粉のように剥がれていた。
「永勝(三河守のこと)……」
「はッ」
「しばし木下殿を、どこぞに迎えて、もてなしておくがいい。――一刻ほどの別れを告げたい。……そのあいだな」
「お別れとは」
「夫人やら、子達と、この世のわかれをしたい。すでに、死を期して、生き葬式までした身ではあるが……生別は死別より辛いとか……。信長どののお使い、それはおゆるしあろうな」