Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
さえ見るのであった。
「殿さま。殿さまッ」
――時に、思いがけなく。
彼方の湖の岸のほうから、そうさけびながら二人の童子が駈けて来た。
ふたりとも小姓姿である。そしてこの行列の中にいた者であったが、素迅こく、いつのまにか湖岸へ駈けて、すぐ戻って来たものとみえる。
「おお於市に、於虎か」
虎之助は十一歳。市松はそれより五つか六つ年上だった。共に、洲股の城に養われていたが、こんど藤吉郎が立ち寄ったしおに、はや年齢も年齢、ぜひ前線の横山城に伴ってくれと、当人も縁者どももせがむので、乞いにまかせて供のうちに加えて来たものだった。
「なんじゃ両名」
「はい」
虎之助は眼ばかりうごかしてみせる。まだ十一歳だし、主君の前では、ものがいえないふうなのである。それから較べると、市松のほうはもうずっと大人びている。
「すぐ、あそこの浜に、小屋もあります、医者もいるって云いました。近いから、そこへ御病人を持ってゆくのが一番でしょ」
と、湖岸を指さした。
そこからも見える――
彼方の湖岸には、仮小屋らしい長い棟が幾つも並んでいた。
それは藤吉郎も家臣の人々も知らないではなかったが、遠く、鑿や手斧の音がきこえてくるので、急病人をつれて行ったところで、手段はあるまいと考えていたのである。