Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
頻りとさけびぬいている。
だが、雑兵は、長い槍を持っているので、市松には近づけない。その恐い顔といったら、市松も虎之助も、この世の人間の顔の中で初めて見たほどのものだった。
「木下家の小姓どもだな。邪魔すると、ぶち殺すぞ」
吠えるように雑兵は罵る。それはただ逃げたがっている焦躁にすぎないが、獅子の乳児には敵の心を量ることなどできなかった。市松が石ころや土を投げつける一方、虎之助も雑兵の脛へ必死に咬みついているくらいが精いッぱいであった。
声を聞きつけて、数人の味方が駈けて来た。そして物もいわず、雑兵の背を槍でつき刺してしまった。虎之助は頭から血をあびたまま、雑兵が仆れてもまだその脚に抱きついていた。苦悶してあばれるので、離したら生き回るような気がするのだった。
「もういい。こらッ、いつまで死骸と取っ組んでいるのだ」
襟がみを抓まれて、虎之助は道の端へ簡単に片づけられた。市松と並んで、夢中から醒めたように、茫然と立っていた。
――ところへ、また多勢の味方がひきあげて来た。ひとりの法師武者を捕虜とし、その縄じりを取って引ったてて来たのである。
捕虜とは見えないほど、法師武者は尊大に反りかえって、怖ろしく威張っていた。