Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

そうした視覚、嗅覚、あらゆる官能から異様な刺戟をうけて秀吉はやや呆れ顔をしていた。

あまりに珍奇な世界へいきなり連れて来ると、子どもは側の親も忘れて口をきかなくなる――そんなふうな秀吉であった。

信長は、それを見て、ひそかに楽しんでいた。どうだ、といわないばかりな顔して――。

と、秀吉はふいに、つかつかと彼方の壁へ向って歩いて行った。そこには日本的な六曲屏風が二面だけ現わして立ててあった。彼は手をかけてその六曲全面を部屋へ展いた。そして、腕拱みして、その前に坐ってしまった。

「……うーむ」

と、唸っているように見える。

金泥の地に、重厚な顔料で、地図が描いてあった。

「……?」

秀吉はやがて、それへ顔をすりつけるようにして、頻りと、何かさがしていた。

その背なかへ、微笑を向けながら、信長が遠くからたずねた。

「筑前。何をさがしているのか」

すると秀吉は、見向きもせず、なお屏風に顔を彷徨わせながら答えた。

「日本です。……日本は、どこでしょう」

信長は歩いた。そして、彼のうしろに立って、にやにや笑っていたが、やがて教えていう。

「筑前、筑前。そんな所をいくら見ていても日本はないぞ。