Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
上京内裏の東から南への馬場八町には、若草の色もまだ浅く、柵のところどころの八尺柱は、緋毛氈でつつまれていた。そして、禁裡東之御門外のあたりに、御出御をあおぐ行宮は建てられてあった。
仮殿とはいいながら、それは清々しい白木に金銀の菊花が鏤められ、珠簾には紫の紐が神々しく垂れて、大屋根の甍もさながら金砂を刷いた大和絵そのままに霞んで見える。
摂家以下、殿上月卿雲客はことごとくそこに陪観の席を賜わって寄り集うていた。――衣香あたりをはらい、四方に薫じ、箇々の御粧い、御儀の結構、華やかなこというばかりもなく、筆にも詞にも述べ難し――とはその日の有様を書いている当時の筆者の嘆声であった。
日月の旛、五色の御旗、ゆるやかに春風のなぶる下には、なお御親衛の弓、矛をたずさえる防人の隊伍が、花園の花のように揃っていた。そして時刻の辰の刻(午前八時)の頃としなれば、遠く、下京の本能寺から、貝の音は聞えて、――一番隊、二番隊、三番隊、四番隊と、京の大路を練って一条東の馬場口へすすんで来る行列の出発を報らせていた。
その頃もう馬場のまわりには人か霞かと疑われるほど、数十万の民衆は、この日の盛儀を微かにでも拝もうものと雲集していた。