Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
信長は教壇に立ってややしばしこの一堂をながめていた。
(珍しき寺子屋もあるものかな)
と云いたげな顔つきだ。教室の机や腰かけなど、悉く泰西風である。一冊ずつの教科書を各※(二の字点、1-2-22)机の上に置き、さすがに諸侯や旗本の子弟だけに、信長のすがたを仰ぐと粛として礼をした。
十ぐらいから十三、四歳の児童が多い。中には元服前後の少年もいる。みな名門の子ではあり、華麗な欧風文明のにおいにくるまれているので、町にある日本の寺子屋とは、比較にならない花園だった。
だが、どっちがほんとの人間を薫陶するか、信長のあたまのうちでは、すでに解答はついているらしかった。故に、さして感嘆も驚異もしていない。手近な机の上から生徒の教科書を取りあげて、黙ってめくっていたが、それもすぐ生徒に返して、
「いま、提琴を弾いていたのは誰だ」
と、たずねた。
信長の問いを受け継いで、宣教師の一名が、生徒に質した。信長はすぐ察した。この教室には今まで教師はいなかったものとみえる。生徒たちはまた、それをよいことにして、西洋の楽器を弄したり、雑談したり、々と騒ぎ合っていたところだったにちがいない――と。