Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
「不忠者ッ」
かっとした惣蔵は、まずその方へ向って、追いかけていった。そして、
「跡部。どこへ行くか」
と、うしろから一刀浴びせつけると、血ぶるいして、今度は、まさしく敵の中へ駈けこんだ。
最後の一戦。それは武門の者にとっては、この世の名残をし尽すことだった。
「弓の代えを。土屋ッ、弓の代えを」
勝頼は、二度も弦を切って、弓を持ちかえた。惣蔵は側を離れず主君の楯となっていた。
面々、あるかぎりの矢を射尽すと、弓を投げて、長巻を持ち、或いは、太刀をふりかぶった。
当然、敵兵も、眼の前へ来た。しかし斬ッつ斬られつの白刃戦も一瞬の間でしかない。大勢はきまっている。
「おさらば」
「殿。若君ッ。おさきに参りますッ」
呼び交わし、呼び交わし、ばたばたと討死を遂げてゆく。勝頼もはや鎧を朱に染め、
「太郎ッ……」
と、わが子を呼んだが、もう眼は血にかすんでいる。うごくものはすべて敵にしか見えなかった。
「殿ッ。惣蔵めは、まだおります。お側におりまする」
「土屋か。敷皮を持て。はや……生害をせん」
「こなたへ行らせられませ」
土屋惣蔵が肩をかす。勝頼は彼にすがって、約百歩ほど退いた。