Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
「方丈へ踏みこんでみろ」
関十郎が云った。
ことばの下に、土足のままの兵たちが、廻廊を左右に駈け出そうとしたとき、
「誰だッ」
と、強い声を響かせて、紙燭を持った一僧が、内陣柱の蔭からこなたへ歩いて来た。
奉行人の中の織田九郎次が、ずかずかと此方からも歩み寄って、
「おう、そちは先日、挨拶に出た勧心とかいう者だな」
勧心はかくべつ驚きもしなかった。静かに、紙燭を下に置いて、平伏した。
「これは、中将様のお旗本衆でございましたか。寺を訪うひとには、おのずから礼もあり、あれに訪鉦も備えてあるに、本堂の上まで、土足でみだれ入るお客は、さしずめ夜盗か、血まようた落人衆かと危ぶみ、わざと、失礼いたしました。おゆるしのほどを」
「坊主、その方は先日も、無用なことばのみ吐いて、中将信忠卿のお使いを怒らせたが、また今日も、われらをわざと腹立たすつもりか。それでは大きな損であろうが」
「お使いのお旨に、正直なお答えを仕るのほか、まだ自身の損得など、考えたこともございません」
「おまえはそれでよかろうが、師の快川国師にとって不利だろう。快川のほかにも、一山にはまだ、たくさんな長老、衆僧、稚子、雲水などいるだろうに」