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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「目ざましき母衣」

とは思ったが、諸将もちょっと手が出なかった。なぜならば、華やかな母衣を負うことは、同じに、母衣に恥かしくないほどな、華やかな武勲を公約することになるからである。

「わたくしに、それを、拝領させてください」

そういって出たのが、まだ十六の脇坂隼人である。秀吉はふり向くと、

「欲しいか」

と、隼人の上へ、投げ与えてやった。

その後、城の西坂の戦いに、隼人は身に母衣をかけて、死闘奮戦した。小さい体の腰帯に、敵方のさむらいの首二つをくくりつけて引揚げて来た。

「よしよし。その紋も、そちにくれる」

輪交いの家紋をも秀吉からもらったのである。それに感奮して、また数日の後、城壁の下まで戦い迫って行ったが、こんどは敵方から襲った一弾に中って、仰向けに倒れてしまった。

「やれ、無残」

と、すぐ味方の宇野伝十郎が、掻い抱いて、退こうとすると、

「嫌だ、退くのは嫌だ。何でもないッ」

と、急に隼人は腕の中でもがいて、伝十郎の手から離れてしまった。

弾は兜の鉢の真ッ向に中ったので、倒れたのは、一時眼が昏んだだけに過ぎなかったのだ。

それにしても、脇坂隼人は伝十郎の手をもぎ離すと、傍らの岩に腰うちかけて、悠々、兜の緒をむすび直し、さて落した槍を拾いとると、ふたたび真紅の母衣をひるがえして、敵の中へ駈け入ったという。