Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
口にこそ出さね、半兵衛様も、父の孝高に会いたいと思っているにちがいありません」
松寿丸は、健気に、そういうと、身なりに較べては、大き過ぎて見える槍の柄を横にかかえて、山すそへ、駈け下りて行った。
秀吉は、その踵を、反対のほうへ回らして、途中から次第に歩速を大股に運んでいた。営中、幾棟にもわかれている仮屋の一つに、燈火の影が漏れていた。そこが竹中半兵衛の寝ている病棟で、折ふし、そこの屋根越しに宵の月が淡くのぼりかけていた。
枕許には秀吉から附けておいた医師もいる。竹中家の臣もいる。ほんの板囲いに過ぎない仮屋の藺莚のうえではあるが、白い衾は厚くかさねられ、片隅には、職人図を描いた屏風が一張立てられてあった。
「半兵衛……。わかるか。秀吉じゃ、筑前じゃ、どうだの、気分は」
そっと、側へ坐って、枕の上の顔をさしのぞいた。
夕闇のせいか、半兵衛の面は、琅のようにきれいである。――かくまで人は痩せるものかと、涙なきを得なかった。
秀吉は、辛くなった。見ているのが、どうにも、傷ましい。
「医師」
「はい」
「……どうだなあ」
「…………」
医者は何とも答えないのである。