Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme

Aozora Bunko

「左馬どの。居るか」

「居るッ。周防か」

「そうじゃ」

「申しつけた品々は」

「矢倉の下まで運ばせたが、如何なされる?」

「何でもよい。すぐこれへ運び上げさせてくれい」

「心得た」

階段口から半身だけあらわして、そこから光春の背へこう云っていたのは三宅周防守だった。周防守はすぐ矢倉の二階辺りまで降りて行って、下に待っているさむらいたちにむかい、

「上げろ。上がって来い。それらの品を持って、お矢倉のうえまで」

と、手を振っていた。

その間も、光春は、鉄砲を撃ちつづけていたが、程なく、三宅周防守と、ほか四、五名の味方が、何やら蒲団包みにした荷物や、莚ぐるみにした梱などを三、四箇ほど、すぐうしろまで担い上げて来たのを見ると、

「鉄砲止めッ」

と、四方の狭間へむかって、ふいに休戦を命じた。

なお漂う硝煙だけは立ちこめていたが、一令のもとに、そこはしいんと静まり返った。左馬介光春は、狭間から半身を乗り出すようにして敵勢を見ながら、

「寄手の大将、堀殿はあたりにおらぬか。かくいうは、守将の左馬介光春でござる。堀秀政どのに物申したい」

敵も急に喚声をひそめた。そして堀秀政の従兄弟にあたる監物のすがたが矢倉の下に立った。