Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
「――なんと大仰な。母を迎えにまいるのは秀吉のわたくし事。……そう大兵を供して参るには及ばぬことだ」
秀吉は城門を出るとすぐ大声でどなっている。須臾の間に勢揃いして待っていた六、七百の兵列をそこに見たからであった。山崎、坂本と連戦して来て、安土でもほとんど休むいとまもなく、早暁そこを立ってこれへ来たばかりの今夜である。兵の顔はまだみな泥の如く疲れきっているのである。秀吉はそれをも察してそういったのかもしれない。
「供は、五十騎もあればよい。ただし小姓どもはなるべくみな来いよ」
すでに馬上へうつり、松明を持つ人々が列の先に立つわずかな間を、秀吉はそう告げていた。あらかたの兵はあとに留むべしといった。
「それは危ない。五十騎では少なすぎる。この夜道――わけて伊吹の山近くにでもなれば、なおいかなる敵勢が潜んでおるかも知れぬに」
堀秀政も池田勝入も、口をきわめて諫めたが、秀吉には、その懸念はないとする確信があるものの如く、「案じるには及ばぬ」とのみで、やがて、松明の火光を先に、長浜の城門から東北方の並木道を一路遠ざかって行った。
宵から四更にかけて、秀吉はさして急がずも五、六里の道は捗どっていた。