Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
彼らはそれほど利己でもない無情でもない。
全城にみちた一瞬の号泣は、実に、人の真美が人の真美を衝ったのである。宗治の無私大愛のあたたかさに触れて、先頃からみな鬼の如く防戦に凝り固まっていた一心が、突然、雪解の如く溶けて誰も彼もの嗚咽となったものだった。
ようやく、諸士の願いを退けて、すこし座右に暇を見出したと思っていると、こんどは宗治の兄の月清入道が来て、彼に説いた。
「長左衛門(宗治のこと)。いま仔細は聞いたが、お前が死ぬには及ばぬことだ。この兄が代ってあげる。死装束はわしに譲れ」
「兄上は桑門のおん身、宗治はここの守将でござる。せっかくですが、代役はおねがいできませぬ」
「いやいや、元々、わしは兄の身だから、家督を継ぐべきであったのを、生来、仏道になずみ、武門にはうとい身ゆえ、強って、弟のお前に家名を継いでもろうたのだ。為に今日、この事に当って、お前が切腹するような立場になったのを、この兄のみ、余命を長らえているわけにはゆかない」
「僧門のお方は、世事死生の上に高くあるべきです。俗の古事など、何の今日の事とかかわりありましょうや」
「そうでない。僧たる者は、人の範ともならなければ、その道も行われぬ。