Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
間もなく、彼が雪隠から出てくると、なおべつの一名は、小柄杓に水をたたえて待ち、傍らに寄り添うて、秀吉の手へ水をかけた。
秀吉は、手を拭きながら、軒ごしに月の位置をながめ、佐吉、助作の二小姓を顧みて、
「お汝らも、寝たか」
と、訊いた。
実は――眠る間などなかったのであるが、そういっては、きげんの良くないことを知っているので、
「はい。まどろみました」
と、答えると、秀吉は縁を五、六歩すすんで、そこの詰の部屋へ、
「権平も居るや」
と、直かに声をかけた。
平野権平が、答えて出ると、秀吉は中二階のはしご段へ足をかけながら振向いて、
「寺中へ参って、光泰に、出かけるぞと、合図して来い。――兵の分かちよう、道々の推行(行軍のこと)などは、夕刻下城のせつ、書きものに認めて、浅野弥兵衛に渡してあるゆえ、浅野弥兵衛について、さしずを聞けと申せ」
「はっ」
「待て待て。もう一言いいわすれた。大島雲八に、ちょっと来いといえ」
裏の雑木林から寺の方へ、権平の走ってゆく跫音が遠ざかってゆく。そのまに秀吉は小姓たちに介添えされながら、手早く鎧具足を着けていた。
身支度さえすめば、さッさと先に出て、他の者に猶予していないのが彼の性分である。