Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
「どう思案するも、ここで秀吉に当るのは、策を得たものではない。彼奴が、一日早く帰国したのは、この有利に立つためであったのだ。その注文に乗って戦う不利を敢えて冒すべきではない」
勝家や老臣の考えはこれに傾いた。それにたいして、玄蕃盛政は、あざ笑った。
「それ程、秀吉が恐いかと、世の笑いぐさになるのもお覚悟ならば、左様になさるがよろしかろう」
いつの軍議の場合でも、退くという意見は弱い。進むという意見は強い。結果の如何をべつにして、その場の気勢において、一方は消極に見え、一方は積極に見える。
殊に、玄蕃の意見は、幕僚を左右する力があった。彼の比類なき武勇、一族中の地位、それに勝家の寵というようなものも言外に作用する。
「一矢も交えず、敵を見て退くなどということは、柴田家のお名折れでしょう」
「まだ、清洲から立たぬうちなら、ともかくのこと」
「玄蕃どののいわるる通り、ここまで来て、引っ返したと聞えては、末代、世上のわらいぐさだ」
「一戦の上で、退くまでも」
「なんの、猿の手下どもが」
若い武者輩は、口をそろえ、玄蕃のことばのあとから玄蕃を支持した。
ひとり黙って、口を発しなかったのは、毛受勝助家照ぐらいなものだった。