Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
二
すると門をはいったところでぱったりと小四郎に会った。少年はすぐに昨夜のかれだと認めたのであろう。眼をしかめてにこっと笑った。
「小四郎さんですね」
秀之進も思わずそう云って微笑した。少年は作りかけの半弓を持っていた。
「いま是れを作ってるところさ」とかれは自慢そうに云った、「ちょっと見ると唯の弓のように見えるだろう、けれどもそうじゃないんだぜ、是れで弩を作るところなんだ、むろんひな形だけれどね、うまくいったら本物を作らせるのさ、ちょっと見てごらん、この弦は鉄線なんだ、今はあたりまえの弦さ、本当は鉄線なんだよ、これを引くには十人の力がいるんだ、轆轤を使わなくちゃ引けやしないがね、すごい勢いが出るんだぜ、黒船なんか一矢で沈めちまうんだから……うまくいけばさ」
「うまくいけばね」
秀之進はそう云って頷きながら玄関のほうへあるきだした。
案内を乞うと門人が出て来て奥へとりついだ。玄関にはもう四五足の穿き物が並び、奥では客の話し声がしている。……待つほどもなく、なにか声だかに云いながら足音あらく出て来た者があった。
「よう、やっぱり貴公か」
そう云うのをみると秀之進もあっと眼をみはった。