Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
尤もそれは野次が巧みだったからではなく、大人たちの対話のなかへ、平気でそんな不謹慎な言葉を※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)む態度であった。そしてまわりにいる人々がべつにそれを異とするようすもなく、東湖だけがさすがに、「これ!」と叱りつけたけれど、それも門人たちの哄笑にかき消されてしまった。
――たいへんな子供だ。
明日を約して宿へ帰るみちみち秀之進は思いかえしてはそう呟いていた。門前で自分を咎めたときからのことを考えると、単になまいきというだけではない。人を恐れぬ気質は客の多い家庭に育ったことにもよるだろうが、生得の敏さ、賢しさ、そして明るくすなおなところ、すべてが際立った個性を示している。――しかし、ああいう成長のしかたが武家のなかで許されるというのは、やはり水戸という土地がらだからであろう、高松とはずいぶん違う。
高松というより、おのれの育った環境と比べて、なにかしら楽に呼吸のできるような胸のひろがる気持がした。……帰途にまた現われるかも知れないと考えていたが、逃げた相手はもう出て来なかった。
二
明くる日、かれは支度を改めて竹隈をおとずれた。