Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
「……ふん」
「どうですか暮れたら恋瀬川のふちで夜涼みに一盃やりませんか」
「いま出した手紙で客が来るだろうと思うから、まああんたひとりでおやりなさい、貧乏ざむらいには旅籠の酒が分相応だよ」
「それはそれは」
ではまたおめにかかりますと云って笑いながら、大助は自分の部屋へ帰って来た。……とにかく新島の見張っている向うの宿を当ってみよう、なにか分るかも知れぬ、そう思いついたのだ。
部屋へ帰って、風とおしのいいところへごろりと横になった。もちろん眠るつもりはない。八十吉の手紙で客が来たら、入れ代りにぬけ出してゆく考えなのだ。……横になって手足を伸ばすと、浴後のこころよいけだるさが全身にひろがって、知らぬまについとろとろとまどろんだらしい。「やあ珍しい」という挨拶の声に、ぎょっとして眼をさますと、声はたしかに新島八十吉の部屋だった。
「どうしました」
「お呼びたてして済みません」
そういう問答を聞きながら、大助はそっと裏梯子から階下へすべりぬけた。
「府中の古城趾を見たいのだがどう行ったらいいのか」
府中はむかし常陸の国府のあったところで、平大掾氏の居館の趾が遺っているので有名だった。